デートシュガー(date sugar:サトウキビやビート由来の糖)や黒糖といった種類の甘味料が、2型糖尿病およびその合併症の管理に有益であることが、米国とブラジルの共同研究で明らかになった。
甘味料には、その由来と精製度に応じて多くのものに多量の抗酸化物質が含まれているが、それが糖尿病に関連する高血圧や心疾患の管理に役立つ可能性があるという。
研究著者の1人、米マサチューセッツ大学アマースト校(University of Massachusetts Amherst)のKalidas Shetty氏はニュースリリースの中で、「さらにいくつかの種類の甘味料には、2型糖尿病治療薬のターゲットとなる、血糖上昇に関連する主要な酵素を阻害する作用があるという興味深い可能性も示された」と述べている。
Shetty氏らは、さまざまな種類の甘味料を分析。その結果、デートシュガーと黒糖には白糖に比べ、フェノール化合物(phenolic compounds)と呼ばれる抗酸化物質がより多く含有されることが判明した。フェノール化合物は、赤ワインや茶にも含まれる植物由来の化学物質で、心血管の健康によいとされる。
研究ではまた、ある種の甘味料にはα(アルファ)グルコシダーゼの活性を阻害する作用も確認された。αグルコシダーゼは小腸での糖類の吸収をコントロールすることにより、血糖レベルを適度に保つ働きをもつ酵素。糖尿病患者では食後の急速な血糖値の上昇が認められるが、ある種の糖尿病治療薬ではαグルコシダーゼの作用阻害をターゲットとして血糖値の上昇を防いでいる。
Shetty氏は「加工食品や飲料に含まれる糖分を低カロリーやゼロカロリーの甘味料に置き換えていくことは、2型糖尿病管理における長期戦略の1つである。しかし、日常用いる甘味料に自然の植物成分に近い低精製のものを戦略的に選ぶこともまた、2型糖尿病とその合併症予防につながる可能性がある。今回の研究結果は、よりよいダイエットデザインを得るための今後の動物や臨床的研究に対して、強力な理論的根拠(rationale)を提供するものである」と述べている。研究結果は、季刊誌「Journal of Medicinal Food(メディカルフード)」6月号に掲載された。