伝統的な沖縄食は、高血圧予防に有効であることが示された。食事介入試験であるチャンプルースタディの成果で、琉球大学医学部の等々力英美氏らが10月9日、札幌市で開催されている日本高血圧学会で発表した。心血管疾患予防のモデル食であるDASH食と同様の効果が期待できることから、アジア発のモデル食として注目を集めそうだ。
等々力氏らは、長寿の原因の一つとして考えられる沖縄の伝統食を再評価する研究に取り組んできた。今回報告した研究では、沖縄在住の40~60歳の健康な米国人男女138人を対象に、4週間を介入期間とする交差試験を実施した。介入群には、沖縄の伝統食を現代風にアレンジしたチルド食(月曜日から木曜日用に週8食分)とゴーヤジュース約1リットル(土日用)を配送し摂取してもらった。チルド1食分に占める野菜は平均で243gだった。一方の対照群には、欧米型の食事を摂取してもらった。前期介入群、後期介入群ともに、介入前後に自記式食事歴法質問票に記入してもらい、空腹時血清と24時間尿の採取を行った。
対象者の90%が12週間の研究を終了。介入前期の結果では、沖縄食群で、尿中ナトリウム排泄(-0.94g/日、95%信頼区間-2.1~-0.6)と体重(-0.9kg、-0.3~-0.6)が減少し、血圧も低下したI(収縮期-2.6mmHg、-4.3~-1.1、拡張期-2.1mmHg、-3.1~-1.0)。一方、同時期の対照群では、尿中ナトリウム排泄(0.04g/日、-0.5~0.5)、体重(0.1kg、-0.1~0.3)とも、さらには血圧(収縮期-0.2mmHg、-1.6~1.1、拡張期-0.3mmHg、-2.1~0.6)も変化はしなかった。これらの変化の差は、有意(p=0.001~0.02)だった。また、交差試験の介入後期においても同様の結果だった。
等々力氏らは、沖縄野菜を豊富に取り入れた伝統的な沖縄食は、高血圧の予防に有効であることが示されたと結論。心血管疾患予防のモデル食として注目されるDASH食と同様の効果が期待できることから、「高血圧をはじめとする生活習慣病の予防や治療において、伝統的な沖縄食による食事介入は有効な戦略となる可能性がある」と考察した。