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「50人以上呼吸器外した」 医師淡々と「家族のため」 
「さよならのプリズム -終末医療は今- 」  <1>

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2007年1月10日】

 走り書きのような字だった。「50人以上は外しています」。富山県の射水市民病院で2006年3月、人工呼吸器外しが表面化した直後。同県保険医協会のアンケートに、そう告白した医師がいた。

 秋が深まるころ、郊外の診療所を訪ねた。50代の男性内科医は、半袖の白衣から伸びた両手を机の上で重ね、淡々と取材に応じた。

 「数時間から数日で亡くなるような患者の呼吸器は、家族と相談して中止してきた」。病院を転々とした約25年間の勤務医時代のことだ。

 ある時、末期がんの60代男性が脳血管障害で運ばれた。県外から駆けつけた2人の息子は、医師と顔を合わせる度に「あとどれぐらいか」と尋ねた。「呼吸器だけで生かされているなら外してくれ」。一晩話し合った2人からそう求められたのは数日後。主治医だった自分の手で外した。

 同じようなことは何度もあった。「苦しませたくない」と延命中止を希望する家族は多い。介護疲れや医療費負担を口に出す人もいるが、それですぐ外すわけではない。

 回復の可能性はほかの医師の意見も聞き判断した。延命中止は家族が言い出したり、医師から選択肢として提示したり。親、配偶者、子供、きょうだい...。考えられる家族は皆呼んで話し合わせ、呼吸器を外す場にも立ち会ってもらった。

 「患者の意思は確認しようがない。亡くなるのが数日後か今かの差だけ。そういう状態ではもう本人のための医療とは言えず、家族の気持ちを第1に考えるべきだ」

  *  *  * 

 関東地方の30代男性内科医も呼吸器を外した経験がある。8年ほど前、急性くも膜下出血を起こし心肺停止状態で搬送された30代女性。自発呼吸はなく瞳孔が散大、脳死に近い状態だった。遠方に住む両親は泊まり込みで付き添った。娘の手を握ったり、名前を呼んだり。3日が過ぎた。

 「管につながれて顔がむくんでいくのを見るのはつらい」「1人で逝(い)かせたくない。今ならわたしたちがみとってあげられる」。目に涙をため両親は呼吸器を止めてほしいと訴えた。どうしたらいいかと上司に相談すると「同意書を書いてもらって」。あっさり答えが返ってきた。

 パチン。呼吸器のスイッチを止めると、乾いた音がした。脈がゆっくりと落ちていく。10分。15分。心電図の波形が消え、臨終を宣告すると病室に泣き声が響いた。

 以前勤めた大学病院では、末期患者の昇圧剤が家族に分からないよう徐々に減らされたことがあった。同じようなやり方で「自然な死」を演出していれば...。両親に厳しい選択をさせた自分を責めた。そもそも助からないと思いながらの蘇生(そせい)措置は、命をもてあそぶことなのかもしれない。

 だが、奇跡的に回復する患者もいないわけではない。あの時、どうすればよかったのか?。

  *  *  * 

 水面下の呼吸器外しを医師たちが語り始めた。国の指針づくりが進むが、延命治療の中止と殺人罪の境界線はあいまいだ。「安らかな最期」をめぐって、患者や家族のさまざまな思いに向き合い、揺れる終末期医療の現場を歩いた。

▽終末期医療の指針

 終末期医療の指針 厚生労働省は患者の意思尊重を基本とする原案を公表、2006年度内の策定を目指している。日本救急医学会も患者意思に基づく呼吸器外しを選択肢の1つとして明記した原案をまとめており、2月にも決定する予定。


 
 
 
 
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