上着のポケットに入れたiPod(アイポッド)などのヘッドホンが、心臓ペースメーカーや埋め込み型除細動器(ICD)など埋め込み型医療機器の正常な機能を阻害する可能性があることが、米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター(ボストン)の研究者らによって明らかにされ、米ニューオーリンズで開かれた米国心臓協会(AHA)年次集会で報告された。
以前の研究では、iPodは心臓ペースメーカーやICDにほとんど影響せず、影響してもごくわずかであることが示され、米国食品医薬品局(FDA)もMP3プレーヤーと埋め込み機器の相互作用がある可能性は低いとしていたが、ヘッドホンはほとんど注目されていなかった。
今回の研究は、除細動器または心臓ペースメーカーの使用者60人を対象に、8種類のMP3ヘッドホンを検証したもの。機器の右上の胸部にヘッドホンを装着した結果、ペースメーカー使用者の15%、除細動器使用者の30%が、磁石に反応を示した。ただし、より強力な磁石を用いても1.2インチ(約3cm)以上離すと影響が認められなかった。
研究者らは、ヘッドホン内部の磁石が機器から1インチ(約2.5cm)以内の位置にあると、ペースメーカーやICDが誤作動する可能性があると警告し、この干渉が生命を脅かす問題を引き起こす可能性は低いが、ICDやペースメーカーの使用者に、ヘッドホンを1.2インチ以上離しておくことを勧めている。