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生ニンニクとニンニクサプリメントには脂質への効果はない

提供:Medscape

【2007年2月27日】

6カ月間の生ニンニクとニンニクサプリメントでは低比重リポ蛋白・高比重リポ蛋白コレステロールやトリグリセリドの値に影響がないことが最新研究で判った

 Shelley Wood
 Medscape Medical News

 WebMDの専門医療ニュースサービス、Heartwireより

安くて自然で、人によっては美味しいとさえ言う生ニンニクやニンニクサプリメントはコレステロール値を下げる方法として期待されていたが、6カ月間でコレステロール値を下げる力があるというエビデンスは最新研究では見つからなかった。

「実際に効くはずだと思っていた」と、筆頭著者であるスタンフォード大学(カリフォルニア州スタンフォード)のChristopher D. Gardner, MDがheartwireに対して語った。「生ニンニクは効くだろうし、サプリメント類のどちらかは、もしかすると両方ともおそらく効くだろうと思っていた。皆の力になることが見つからなくて、我々はがっかりしている」。

米国立衛生研究所が資金を提供した今回のランダム化対照比較試験が実施されたのは、ニンニクの脂質低下効果を支持する10年以上に及ぶ研究を受けてのことであり、ニンニクを薬とする「古代からの」伝統的な使用法を意識したものではないと著者らは述べている。in vitro試験や動物試験では脂質に対する効果が期待できる結果が示されていたが、これまで行われた臨床試験の結果は一致せず、試験デザインや資金源の面で問題を抱えていた。こうした問題はあるが複数の試験をメタアナリシスで合算すれば、ニンニクにはコレステロール低下能力があるという信念を強めることにしかなっていなかったと、Gardner博士は語る。

「すべての臨床試験を合わせたメタアナリシスが過去20年間に5件あり、そのどれもがニンニクは効くと伝えていた。そのため、そうした試験を根拠にサプリメントのラベルには、ニンニクはコレステロールを低下させると表示されている」と、Gardner博士は言う。

3万個のサンドイッチ。昼食はすべて管理

この試験では、コレステロール値が中等度に亢進している被験者192例(低比重リポ蛋白[LDL]コレステロール濃度は130-190mg/dL)を、生ニンニク、ニンニク粉末サプリメント、熟成ニンニク抽出サプリメント、プラセボの4つの処置群にランダムに分けた。Gardner博士によると、この2種類のサプリメントを選択したのは、それらがしっかりとしたエビデンスを背景に持っており、試験に先立つ生化学分析で活性成分が確認されたからである。

2週間の導入期間において、被験者は研究チームが用意したサンドイッチを毎日摂食した。処置期間では、被験者はサンドイッチに加えて錠剤を試験協力施設で受け取る。生ニンニク群はサンドイッチの薬味としてニンニクが使用されているが、錠剤はプラセボである。その他の群は、ニンニク抜きのサンドイッチを受け取り、錠剤は1種類または2種類のサプリメントを含むか、プラセボである。

この試験の期間中、臨床研究センター(General Clinical Research Center)では、「グルメ志向で心臓の健康にいいサンドイッチ」を3万個以上作った、とGardner博士は述べている。試験終了までは半年ごとに、被験者から血液サンプルを採取した。

どの群も、試験終了までにLDLコレステロール値は試験開始時に比べて実質的な変化を見せなかった。「統計的有意差にはならない程度の小さな効果があったという話でもない」とGardner博士は強調する。「6カ月間にわたって、4群ともなんの動きもなかったのだ。それが実にがっかりさせる点だ」。

高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールとトリグリセリドの値、および総コレステロール/HDL比についても何の効果も見られなかった。

Gardner博士によれば、ニンニクで唱えられている脂質低下効果は盛んに吹聴されており、この5年から10年の間、ニンニクはハーブ/植物性製品の売り上げのトップ5に並んでいるという。それはおそらくはLDL値の低下を期待する人が多くいるためではないかと、同博士は語る。

しかし、今回の試験では、ニンニクがその他の循環器系への効果や、心臓以外の健康へのベネフィットの可能性を持つかについては評価していないとも、Gardner博士は慎重に指摘している。「ニンニクに抗炎症作用や血圧低下作用、抗癌作用がある可能性は依然として存在する。そのどれについてもしっかりと研究する必要がある」と同博士は述べる。

関連する解説記事において、コーネル大学ワイル医科大学(ニューヨーク)のMary Charlson, MDとMarcus McFerren, MDが、ニンニクには今回の試験では取り上げられなかった動脈硬化に対して特に効果がある可能性に言及している。両博士の論点のひとつとして、Gardner博士らの試験は、アリシンが活性成分であるという想定に基づいて行われている点を上げており、そのために、ニンニクに含まれる多数の相互作用をする成分の動脈硬化の進行に対する効果の有無を考察することができなくなっている可能性がある。

「この試験のデザインは、アリシンのアベイラビリティに関してはいろいろな点に考慮した優れたものだと思う。しかし動脈硬化は、脂質値以外にも多数の要因が作用する複雑な現象である」とCharlson博士はMedscapeに対して語った。「今回の試験はアリシンが作用因子であるという想定に基づいて行われているので、そこで示されたのは、アリシンは作用因子であるとしてもLDL値に対しては効果がないということなのだと私は思う。LDL値が高くてそれを下げたい場合には、ニンニクは解決法にならない。ではニンニクには動脈硬化を予防する働きがあるのだろうか?その判断はまだ下されていないと思う」。

公が資金提供する臨床試験の意義

Gardner博士らの試験は、数百万ドル規模の業界であるサプリメントの試験に、公が資金提供する意義についても多くを語っている。特に、その健康上の主張を製造者がしっかりと試験せずに宣伝している場合にはそうだ。「FDAは実際にはサプリメント類を規制したいと考えているが、ロビイストたちに打ち砕かれているのだ」とGardner博士は説明する。「試験は費用がかかり、相手にすべき事柄が実に多いために、そのすべてを調べることができない。しかし、FDAがニンニクのように一般に広まってはいるが実証がほとんど伴っていないものから追跡できるならば、得るものが大きい」と博士は言う。

心臓の健康に対して、間接的であったとしてもニンニクはよい働きをする食品であることは依然として変わりないと、Gardner博士は慎重に言い添えた。

 「外出して、朝食にマクドナルドのエッグマフィンを食べ、昼食にビッグマックを食べ、その後でニンニクを一片食べれば、もう安心、というわけにはいかない。ニンニクはそれでは効かない」とGardner博士はHeartwireに対して語った。「ニンニクを摂るなら、全粒小麦パンに塗ったり、アジア風の野菜たっぷりの炒め物に入れたりするなど家庭で摂るようにすれば効果が最大になるということがこの知見の要点である。それがニンニクが実際に役に立つ方法なのだ。ぜひそうして欲しい」。


 
 
 
 
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